……「子どもは自分の事は自分で考え決める(そら組さんのおべんきょうごっこ)……
先月号で、そら組さんのおべんきょうごっこのこと、子どもが文字を覚える時は、保護者の方も一緒に正しい文字を覚えるチャンスでもあることをお伝えしました。
さて、今は、小学生でも、分からないことはパソコンで調べる時代です。でも、この答えは単発の知識でしかなく、総合的な知識にはなっていません。そら組さんが「1+1=2だよ。」と自慢げに友達に教えています。でも、その1はどんな1でしょうか。飴の入った袋が一つなのか、飴玉一つなのか、子ども達のイメージはまったく広がりがありません。数の世界は、生活の中で経験したことをもとにイメージが広がります。私たちは、物を数える時、2・4・6・8・10と数えたり、5・10・15・20と数えたり、または、10・20・30と数えることがよくありますね。そんな場面を生活の中で子どもにも伝えて欲しいのです。時計がなかなか理解できないのも、生活の中で生かされていないからです。数字で表示されるデジタル時計は、時間の経過を理解しにくいので、こども園の時計は、数字が大きめの針の動きが見えるものと決まっています。そら組の時計は、1のところに5,2には10と書いた紙が貼ってあるのにお気づきですか「早く、はやく」と「ああしろ、こうしろ」の指示ばかりだと、先の見通しを持って自ら行動できなくなっていきます。教えることが勉強だと考える大人が多いのですが、大人と子どもが様々な場面で関わり合い、伝えあって生活しないと、子どもの発育発達は鈍化していきます。良いモデルがあると、三つ子の魂の時期の脳細胞は、示された配線図通りに素直に絡み合っていきます。一番身近な存在であり尊敬している両親の影響は絶大です。
この幼児期で大切なのが、指と手を器用に使えるようにすることです。読み書きの時だけでなく、全ての活動に重要な役割をはたすのが親指です。親指は他の4本の指の反対の位置にあって、その4本の指と協力し合って、うまく物を掴んだり、握ったりすることができるような仕組みになっています。さらに、この親指を母指とも言いい、他の4本の指と向かい合い、仲良くすることができます。これを「母子対向性」といい、親指は、手の仕組みの中での最も重要な役目を果たします。器用不器用はこの親指の働きによって決まると言われています。親指は動の指、他の指を受けの指と言い、どんな道具でも、この親指が中心になって動くのです。
最近の子ども達は、この親指を使う、他の指と協応させて使うことが苦手です。スマホが普及することで、ますますこの傾向は進んでいます。親指と他の4本指の協応と同時に、右左両方の手の協応です。読み書き以前に、普段の生活の中で、指・そして両手を協応させて使う習慣が身につくようにしましょう。食事の時、肘をついて食べる、箸やスプーンを持つもう一方の手は茶碗を持っていますか。毎日の生活習慣ができていないと、学習は上手くいかないのです。「手は見える脳である」と言われるように、小学校入学だからと慌てても、もう手遅れになっているのかもしれません。教えたらできるのではなく、生活を通して親子の関りが丁寧に行われてこそ身につくのが、学びの芽なのです。