子育てに絵本を

子どもはどのようにして、言葉を獲得していくのか。

私はよく保護者の方に言うのですが、「子どもは言葉をためておいて、そして、ある日突然出すんですよ。」と。私たちは小さい子どもと手をつないだ時、一緒にいるとき、見る物何でも「葉っぱが落ちてるねぇ!」

「チューリップが咲いてる」子どもが石ころを拾うと、「石が落ちてたねぇ、まるいねぇ!」など、目に入るものの名前や様子を言うのですが、子どもに覚えさせようか、言わせようと思っているわけではありません。子どもも大抵は、聞いているのか聞いていないのか‥、何かを言ってくるわけではありません。ときに「これなんだったっけ?」と尋ねても無言です。子どもは、物と言葉が結びついて、やっと音声になるのですが、子どもが、この物はこういう言葉だと納得できないと音声にしないのだと思います。つまり、子どもは納得しないと行動に結びつかないのです。友達との関わりが増えてくると、言葉がどんどん増えていきます。えっ!という驚きや気づき、楽しいとか、面白いなどの経験が得られれば、なおさらです。

「これは○○だよね」という共感がとても嬉しいのです。これを三項関係と言いますが、親御さんとお子さんが、物を介して「○○だよね、そうだねぇ」となることがとても大事なんですね。ただ、物の名前を覚えさせようとすると、子どもはますます口を閉ざしてしまうので、ご注意を!「そうだね」がとても大事です。

そして、新しい言葉が出たとき、いっぱい喜んでください。褒めて下さい。楽しい体験、気持ちの良い対人関係が言葉を発達させます。同じ絵本を繰り返し読んでもらうことで、ある日 「このことがこのことばなんだ」と納得できて、音声になってでてきます。ですから、3歳以下の子どもには、同じ本を繰り返し読むことがとても大事です。色んな本をたくさん読まなくていいのです。「○○だよね」と確認できることが、子どもはとても嬉しいのです。同じ本を続けて借りてくるときは、1冊は子どもが好きな本を、もう1冊はお母さんの好きな本を読むようにするといいですね。

読み込んだ本を読んでもらって、「やっぱりね」と安心し、初めて出会う本も受け入れられます。すると、違うことにも関心が広がり、新しい言葉にも出会います。

こうやって、子どもは言葉を増やしていき、言葉を獲得することで、考える力をつけていきます。言葉を教えるというより、言葉に触れる機会を作る、楽しい安心できることが言葉を獲得することになります。教えたからできるというより、「するかしないかは子どもが決めること」子どもが納得しなければ、前には進まないということなんですね。

子育てに「これが一番だ!」という方法はありません。良い子育ての鍵は、いつも子どもが握っているからです。