連日、プールやシャボン玉などの夏ならではの遊びを楽しむ声が聞こえてきて、保育者の気持ちを明るくしてくれます。子どもたちの心が解き放たれて、友達と一緒に遊ぶことが、こんなにも楽しいのだと感じる季節です。ただ単に楽しいのではなく、心弾む想いや水の感触に驚いた気持ちなどを、先生と友だちと共有するからこそ、嬉しさが倍増しているのです。自分の思いが叶えばそれでよかった子どもたちが、『友達も一緒!』と感じられる夏の遊びは、特に3歳以上の子どもたちの内面を大きく成長させます。
3歳は大きな成長の時期です。個別の活動から集団での活動へと変化していく3歳児は、友達も自分と同じ『気持ちいいね』を共有できたと大きな喜びを感じるようになります。しかしそうなるには、0歳から2歳までの間に、特に母親とのよい関係(適切な対応)が少ないと、この集団での遊びを楽しむことができません。母親だけが子育てしているわけではないのですが、3歳未満の子どもが母親を求めるのは子どもの本能です。(3歳からは、本格的な父親の出番です。)そのため、乳児期から2歳までの間に、大好きな母親からの注目を浴びたいがための様々な嬉しい行動や困った行動が見られるのですが、その時に、きちんと褒められたり、言い聞かせられたりすることで、3歳以後の集団行動に差が出てきます。特に 言葉の発達に遅れが出てくることが多いです。言葉は「三項関係」といって、物を介してのやり取りが十分にできたかということが大切です。1歳ころの子どもは、「アッ アッ」と言って指差しをします。この世の中のすべてが目新しいものなのですから、大人にとってはつまらないものでも大きな発見なのです。そこをわかってあげて、「虫がいたね」とか「石があったね、危ないね、硬いねぇ」など、子どもの関心に応えてあげると、言葉が発達し、他人との関わりもスムーズになり、友達への関心も高く、集団活動にそれほど抵抗なく移っていけるのです。反対に、この「三項関係」を大事にできないと、こどもの社会性の発達は超緩やかになるばかりでなく、関心を引くことばかりに気持ちが向くので、困った行動ばかりを繰り返します。こども園では見られない行動が、家で繰り返されるときは、注意が必要です。発達障がいではないのに、それとそっくりな行動が見られ、それがそのまま脳の構造を変化させるという事実もわかってきました。スマホの普及で、何でもネットの力を借りる時代になりました。夕方、子どもを迎えに来た方が、スマホを耳に当てながら入ってきて、園を出るまでずーっと話し続け、とうとう子どもとの会話はありませんでした。そういった積み重ねが後々子どもの思考回路に影響を及ぼす可能性は否定できません。他人との関係が築けない子どもの将来はどうなってしまうのでしょうか。
0歳、1歳、2歳というのは、「まだ小さいから」とか「よくわからないから」といった大人の勝手な思い込みとは反対に、大人を鋭く観察し、その心持ちを察しています。ただ、それを言葉にすることができないだけなのです。子どもの発語や発声、つぶやきやおしゃべりには、丁寧に対応しましょうね。そのことが3歳以後の子育てを楽にしてくれます。このコラムを読まれて「しまった」と思われた方も、幼児期ならやり直し可能です。子どもの脳は、まだまだ発達途上です。困った行動でお悩みだったり、発達に心配のある方、一緒に改善に取組みましょう。是非是非、ご相談ください。