先月は季節外れのキャンプの話になってしまいましたが、子どもの成長を描いた絵本に、同じく林明子さくの「いもうとのにゅういん」があります。お母さんに、「あさえちゃん、たったひとばんで ほんとうに おおきな おねえさんに なったのね」と、ぎゅっと抱いてもらいます。
このように、3歳以上の子どもたちに是非よんでほしい本として「三びきのやぎのがらがらどん」や「かいじゅうたちのいるところ」「どろんこはりー」などがあります。読書推進計画の中に、年齢が進むほど、本を読まなくなると書かれていましたが、本を読まなくなるだろうと思われる症状は、4歳児くらいで現れています。そして、それはそのまま、学習意欲へとつながっていきます。
小学校に入学してしばらくすると、宿題が出されるのですが、文字はかけても、課題の中身がわからないと、手も足も出ません。つまり、文字を読んで、どういう内容かを理解できなければ、課題に向き合えないということです。文字は読めて当然、読んだら何が書かれているかがわかるのは当然というのが、小学校側の考え方です。書くことよりも読みの方が大切なのです。まずは「読む」こと。そして内容を理解することができるほどの読む力が求められます。
読む力の前に、聞く力が必要で、話を聞いて想像する力がなければ読んでも内容を理解できません。文字が読めると、とても成長したように感じますが、この想像する力が育っていないと、文字を音にしただけで、ことばの持つ意味や文章をイメージできません。文字の練習が悪いとは言いませんが、その前に育てなければいけない力があるということです。そして、その創造する力が育つのが幼児期なのです。文字を覚えさせるために絵本を与えたりしないでください。字が読めるからと、「自分で読め」と言わないでください。親子で同じ本を読むことは、子どもが親の愛情を感じ幸福を味わう時間です。この安心できる時間が子どもの心を安定させ、たくさんのことを吸収でき、想像の力を発揮する時間です。大人が絵本を読み聞かせすること、絵本の世界を楽しんでください。本の中の文章を読むのではなく、親御さんの言葉として読んでいただきたいのです。一気に読むのではなく、毎日少しずつ続けていただきたいのです。昨日読んだ本も、きょうはまた新しい発見ができるのが、子どもの想像力であり、絵を読む力です。子どもの育ちには順序があり、順番があります。無理な先取りは、成長の芽をつぶしてしまうことになるかもしれないのです。いまは、子どもと共に本を読みましょう。
年長児は、6月から少しずつ、文字と数の遊びに取組みます。子どもたち一人ひとりの成長発達には、すでに個人差があり、これまで育ってきた家庭環境も保護者の方の価値観も異なります。みんなで横並びにはなれないと思いますが、昨日より今日、今日より明日と、一人ひとりが前に進めるよう援助していきたいと思います。
○○ちゃんと比べるのではなく、それぞれの子どものここ1年前、1か月前いえ昨日と比べてほしいのです。