……「子どもの言い分(楽しいことしたい)……
秋は芸術の秋、と言いたいところですが、なんといっても食欲の秋になってしまいがち。そんな秋の恒例行事、読書の秋にちなんで、つちはしこども学園の「親子絵本作り」がありました。ご参加くださった保護者の皆様、ありがとうございました。出来上がった絵本を、担任の先生とお友達でしばらくの間 楽しみます。「今日は○○ちゃんの絵本です。」と言い、「絵を描いた人、○○ちゃん、文を書いた人○○ちゃんのお母さん。」と表紙を呼んでから、絵本を開きます。作者の子どもはとても誇らしげ、「見てみて!私もすごいけど、おかあさんはもっとかっこいい」と自慢気です。その瞬間、子どもにとって、親の存在がどんなに大きいかを私たちは実感します。この世界に1冊だけの絵本は、数え年15歳のクリスマスイブに郵便小包で届く予定です。中学2年生の時、自分が作ったこの絵本を手にした時、⒑年前にタイムスリップするかもしれません。感謝がないわけではないけれど、ついつい親の助言や注意が素直に受け入れられない、そんな年頃です。それは血のつながった親子ですし、この世に誕生して以来、目をかけ、手をかけ、心をかけてもらったことはわかっているのです。でも、面と向かって言われると、気恥ずかしいですよね。でも、この絵本に出会うと、素直な気持ちに戻るかもしれません。本は何も語らないのですが、語らないからこそ、親が自分にしてくれたこと、自分にかけてくれた思いや心を感じさせてくれるはずです。「へぇ~ こんな時もあったんだ!」という感慨が湧いてくるはずです。子どもはいつも親に認められたいと願っています。叱られることは望んでいません。でも、それでも自分の思いを遂げたい、試したいという欲求を抑えられないのが子どもなのだということを分かっていただきたい。親に守られていると感じるからこそ、「やってみたい」という気持ちが湧くし、自分の思いを通したいのは子ども本来の姿です。それを突発的にやってしまう子と、じっくり考えてやる子のタイプがありますが、親からもらった素質をいい方向に伸ばすのが大人の役割りです。
子どもの貧困のことが問題になっていますが、貧困とは金銭面だけのことではなく、心の貧困のことがもっと深刻な問題なのです。つちはしこども学園の保護者の皆さま方は、絵本作りのような、親が子どもに目や手を掛ける活動に協力的です。子どもとじっくり話し合い、子どもの考えを汲みとり、10年後に子どもの手に渡ることを考えて、メッセージを書き…といったふうに、子どもとのその濃密な時間を大切に考えてくれています。そんなふうに取り組んでいることが、子どもの心の成長を助けるのだと思います。
親子読書と全く同じで、この活動が実を結ぶのは、10年後いえ20年後、子ども達がどんな気持ちでこの世を生き抜こうとしているかに現れます。