今、年長のそら組の子どもたちが、「私おうちで勉強してるの。」「ぼくもだよ。よという字はこうだよね。」と言って書いた平仮名は、書き順がめちゃくちゃです。そして、その後小学校での学習を経ても、それはそのまま改善されません。縦線は上から下へ、横線は左から右へと引きます。これが基本です。何本かの線を組み合わさって文字は形づくられています。ある程度、書き順のルールを身につけないと、ひらがなは何とかなったとしても、漢字を正しく覚えることが困難です。最近、漢字の「読み」や「書き」を苦手とする小学生が増えています。学童期に覚えなければならない漢字は6千字以上あります。
ひらがなの書きに興味を持つときに、しっかりと書き順を身につけさせることが、その後の漢字学習にはとても大切です。箸や鉛筆の持ち方にしても、矯正はとてもむつかしいように、スタートの時点でルールが身についていないと、後からの修正は困難です。漢字をどうしても覚えられない子は、この最初に身に付けなければならないことが身についていないので、頭の中を整理して覚えられないようなのです。あっちの線、こっちの線とバラバラに引くと、漢字は覚えられません。(余談ですが、歯磨きも、左から又は外側からなど、順番に磨くと磨き残しがなくなります。)
「書けた!」というと、とても褒められるため、成長が見られたように感じられるのか、子どもは遊び感覚でどんどん書くようになりますが、子どもの様子をしっかり見守ることができない場合は、絵を真似て描くとか、写し絵や塗り絵をするなどをお勧めします。
書くの前に文字が読めること、文字が読める前に、きちんと話せること、話す前に、きちんと聞けること、そしてそのためには、主語述語に副詞や形容詞・接続詞を使ってきちんと話す大人の存在と、子どもの話を関心を持って聞く親の存在、その前に、生まれたときから子どもと向き合って優しく語り掛ける母親の存在が欠かせません。
ですから、読み聞かせは、このどの段階においても有効に作用しますし、欠かせないものです。
指の感覚が未発達の段階で書くことを強要すると、文字を記号のようにとらえて、線を引くときの基本的な感覚や筆順を身につけることはできません。
まだ小さいからどうでもいいではなく、基本を正しく身につけることが、その後の学習をスムーズにしていきます。
つき・そら組さんは、箸や鉛筆を正しく持つこと、キャラクターなどを真似て絵を描いたり、枠を気にして塗り絵をすることをお勧めします。文字の書き初めには、必ずお手本が必要です。形や大きさを気にしながら練習しないと、正しい書き方は身につかないし、後で子どもが困ることに繋がります。