集団の中での子どもたち

……葛藤してそして成長する子どもたち……

正月遊びで一色だった1月、コマ回しに凧揚げ、かるた取りやすごろくなどの遊びを経験して、記号や文字、数字への関心が一気に高まります。現在、そら組さんは、「聞くこと、読むこと、そして鉛筆と消しゴムを正しく使うことができるように」を目標に、午睡時間に文字・かず遊びに取組んでいます。あと2ヶ月で義務教育を受けることになる子どもたちですが、先生の話をしっかり聞いて、全員が揃って同じ課題に取り組むことができるようになるのは、とてもむつかしいことです。幼児期の月齢差というのは、そのまま力の差になります。でも、これからのふた月は、これから誕生日を迎える子どもたちが、4月5月生まれの子どもたちをモデルに、そうなりたい、あるいは乗り越えたいと、集団活動の中でグーンと力をつけていく時期です。
学校だから勉強ではなく、義務教育の年齢に達するまでの学びがないと、義務教育への移行はスムーズにできません。教えたからできるはずと思っている方が多いのですが、幼児期はそうはならないのです。「何回言ったらわかるの!」大人は(保育の場でも)つい言ってしまうのですが、子どもを否定している言葉です。もともと人はそれぞれに生まれ持った性分があります。「聞くより先に動く」という力が強い子は、落ち着きがありません。自分のケガも多いのですが、他人に怪我をさせてしまうこともあります。目に入ったものにすぐに気持ちが移ったりするので、じっとできません。そんな子どもに、「何回言ったらわかるの」と言ってしまうと、できないことを言われ続けることで、自信がなくなります。10回言って1回でも出来たら◎だと考えましょう。自分で今はこうしないといけないと自制する力を伸ばしていきましょう。幸い、幼児期は、そんな自分をコントロールする前頭葉が発達する時期です。自分はできると認めてもらえることで、頑張ろうと思えます。今は小さなことからです。そして、人の話が聞けるには、聞いてもらっている経験が大事です。幼児期、周りの大人が子どもの話を聞いあげていたかがカギです。お勉強ごっこでも、話の途中でついついしゃべり始めたり、席を離れてしまう子供には、「〇時までは(15~20分間くらい)席を離れないように」と話をすると、その時はきちんとできるようになってきています。できる課題に取り組ませること、そして出来たら褒めること。そんなことを積み重ねることで自制する力を伸ばしていこうと取り組んでいます。
家庭の取り組みで効果的なのが、毎日の読み聞かせです。「小さい時はどうしようもない聞かん坊だった」という話を耳にしますが、今はしっかりとした大人、社会人に育っています。きっとこの脳の前頭葉部分の発達が目覚ましかったんだと思います。家庭と集団の中での気持ち良い体験が、子どもたちの前向きな生き方を支えていくのですね。