集団の中での子どもたち

…… 葛藤してそして成長する子どもたち ……

子どもたちにトラブルはつきものです。でも、遊びに夢中になっているときは、不思議とトラブルも不安な姿もなく、みんながイキイキした表情です。当園では「一人ひとりを大切に」を肝に銘じていますが、これは、子ども一人ひとりの要求の受け止めやその対応にのみに徹していることではありません。保育教諭は、とびっきり楽しい遊びが 子どもたちみんなでできるようにしたいと考えています。大
人との依存関係だけで満足だった乳児時代から、3歳児くらいになると「友だちと一緒にいたい」という発達要求の姿が見られるようになります。ほし組の新入園児に対し、まずは安心感をと一生懸命一対一の対応を繰り返しても、それだけでは安心できないのです。友だちの中で「こうありたい自分」が芽生えてくるからです。3歳児さんは、自由遊びの時など よく保育教諭の太ももに抱きつきます。一人でなく何人も。それは友だちを求めるようになって、でもうまく関わりあえるかの不安ゆえの姿なのですね。3歳児、大きな心の成長が見られる時期です。担任はもちろん保護者の方も(もし、大人にとって困った行動と思えたとしても)子どもの内面の成長を認め、互いに情報交換しあうことで、その成長を喜び合えるようにしたいと思うのです。子どもたちは、友だちに「好き」と言われると安心し、反対に「嫌い」とか「もう遊ばない」と言われると、ひどく落ち込みます。そして、子どもによっては人や物に八つ当たりして荒れたりします。「ばかー!」と言ってしまい、「馬鹿じゃないもん」「馬鹿っていう人がバカなんでよ」など、ひどいときは『バカーッ』の言い合いになることもあります。自分なりの「つもり」が友だちと違ったとき、そうなってしまうのです。友だちへ気持ちが向かうこの頃から、大人が、お互いの気持ち(こうしたかった、こうなるとよかったという遊びのつもりが変わって困ったこと)を代弁・共感するようにします。バカーッと言わないと遊びが続けられないと思ってしまうこと、でも、つるんで遊べるようになってきたという成長の方を喜びたいですね。
先生「ブロックで遊んだ後、なかなか片付けられないよね。ご本を読む時間がなくなりそうなんだけど、どうしたらいいかなぁ」子「遊ばない」先生「え、遊ばないの?」子「いやだ!」「遊びたーい」先生「だよねー、でも絵本読めなくなっちゃう。」子「片付ける」「先生が言ったら片付ける」先生「なるほど、先生が言ったら片付けるんだね」子 口々に「うん」「時計の針が真ん中に来たら片付ける」先生「そう、先生が言わなくても片付けるんだ」子「うん、静かにね」先生「そうか、小さいお友だちが寝てるからね」子「そうだよ、わかってる」先生「みんなできそう?」子「できるよ」先生「でもさぁ、つい遊んじゃったらどうする?」子「ないよ」先生「先生ついやっちゃうことよくあるよ」子「片付けようって言う」先生「この考えはいいかもね」子「でも、怖いのは嫌だ」先生「コワイ言い方はイヤ?」子「普通に言って欲しい」ウーン、答えは自分たちで出すんだね。すぐに答えを出してしまうこと、反省はんせい。