集団の中での子どもたち

……葛藤してそして成長する子どもたち……

5月13日に行なわれたつちはしこども学園家族大運動会、初めて参加された保護者の方から、「みんな本気で勝負するんですね。」と感想をいただきました。子どもたちはそんな一生懸命の親の姿をきっと誇りに思っているはずです。あんな風にカッコよくなりたいと、きっとそんな風に生き方を学んでいくんですね。私たち職員も、子どもと向き合うときは、いつも本気でありたいと改めて思うことでした。ありがとうございました。
さて、子どもたちはこども園にいるとき、子ども同士で学びあいます。子どもたちは家庭の中で過ごす時とは違い、同年齢の仲間同士の中では、精一杯の自分を出して、仲間からの承認を得ようとします。つまり、一生懸命に生きています。子どもたちの中の誰かが、何か新しい発見や技を獲得したとき、特に男の子は、面白そうと感じるや、競って自分もその技を身につけようとします。でも、うまくできないこともあり、失敗する子どももいます。そんなとき悪気はないのですが、面白がってからかったり、またそのことにふざけて同調してしまうことがあります。そんな場面で、「言ったのが悪い」として謝らせて、早々に決着させてしまうことがあるのが残念です。「僕は言ってない」「違う、○○ちゃんも言ったよ!僕聞いてた」などと言い出す子もいます。私は言ってないから関係ないなど、自分は悪くないと安心したいのだと思いますが、私たち幼児教育に携わるものとして、ああだった、こうだったでしょうなど、事実を追求するだけでなく、頑張ったけれどもうまくできなかった子の気持ちをクラスの子どもたちにわかってほしいと願います。「どんな気持ちだったかわかる?」と投げかけることで、「イヤな気持ち」「できるようになりたいんだと思う」ときちんと気持ちをわかってあげられるのです。「みんなはそういう気持ちがわかるんだね。じゃあどうすればいいのかな?」とさらに投げかけると、「もっと練習すればいい」「頑張る」など励ましともとれるような言葉が出てきます。トラブルが起きると、大人はつい、事実の経過を確かめて、良し悪しだけで片づけてしまいがちです。
幼児期の今、自分の気持ちと相手の気持ちを言葉にして伝えあうことを経験させたいと思います。自分の身を守ることは悪いことではありません。でも、相手の気持ちにも気付いてほしいのです。そのことを言葉にして伝えあうことができないと、折り合いをつけることはむつかしいのです。本園に見学に来られた支援の先生が、「子どもたちが上手に折り合いをつけながら付き合って(遊んで)いるのにびっくりしました。」と言っていました。子どもたちは私たち大人が考える以上に、「広い大きなふところ」を隠し持っているようです。良い・悪いだけの決着パターンで終わらせない、子どもの気持ちを受け止めつつ、子どもと一緒に考え、子どもと一緒に成長していく職員を育てたいと願う園長です。